1995 WW 160m Contest Story
1.9MHzタワードライブGPの製作と
1995 WW 160m コンテスト
JF7TFK 古谷明裕
今年はじめ、1月28日から30日に行われたCQ World Wide
160m ContestにJA1YDUから参加した際、1.9MHz Tower Drive G.Pを
試みる機会がありましたので、コンテストの結果と合わせ本アンテ
ナを使用した成果を報告します。
去年もこのコンテストには参加し、受信系にBeverageを本格的に
導入したことにより、今までよりも受信能力が画期的に改善されま
した。この結果今までは不可能と思っていた150QSO以上という成果
を挙げることが出来ました。しかしその際に「聞こえているのに届
かない」ということが間々あり非常に悔しい思いをしました。
そこで、以前から考えていたのですが、今年は、送信能力を改善すべく
新たなアンテナとして、打ち上げ角が低く、水平ダイポールとは違っ
た偏波を持ったG.Pに挑戦することになりました。
接地抵抗
接地型アンテナは接地抵抗が良好であることが第一条件です。ご
存知の通り、1/4波長接地型アンテナの給電点インピーダンスは中
央給電1/2波長ダイポールアンテナの半分で、約36Ωです。接地
抵抗もアンテナ回路の一部ですから、それが数〜数十Ωもあると、
接地抵抗で消費される電力がアンテナ入力に対して大きなパーセン
テージを占め、貴重な高周波電力が接地抵抗で熱に変わって非常に
効率の悪いアンテナになってしまいます。ですから、プロの世界の
長波、中波送信所の接地型アンテナにおいては、接地抵抗をいかに
低くするかにうん千万円ものお金を費やすのもうなずけます。
幸い、YDUのアンテナ群は海に近いロケーションにあるためか、有名なア
ンテナ工事業者の手によって建てられたためか、すばらしく良好な
接地が取れています。念のため横河電機製の接地抵抗計で測定して
みたところ、ほぼ仕様通りの抵抗値を示しました。
エレメント
YDUのタワーはマストパイプ先端で約26m、1.9MHzの1/4波長の
40mには足りません。そこで、10mのグラスポールに銅線を通
してラジエターを追加し、これで約35mとしました。3基あるタ
ワーのうち今回G.Pとして利用するタワーには14MHzのフルサイズ
5eleがのっています。これが容量冠の役割を果たしちょうど良い具
合に電波がのるであろう希望的観測を持って、さあ給電です。
給電
タワーをグランドから浮かすわけにはいかないため、何らかの給
電方法を取らなければなりません。当初、デルタマッチを試みまし
たがこれが全くの失敗。給電点に入れたアンテナカプラの耐圧が不
十分なためフルパワーに達する前にスパーク。また、どうやらちゃ
んと動作していないらしく全く使い物になりません。コンテスト初
日、日も暮れてしまったので次の日手直しをすることにして我慢し
ました。
さて、明るくなって、次はガンママッチで給電することにしまし
た。ショートバーの長さは約1m、シャントフィードの長さは目測
で約17mとし、シャントフィードのインダクティブリアクタンス
を打ち消すCには5−465pF、耐圧5kVのバキュームバリコ
ンを使いました。本来なら、インピーダンス変換比はシャントフィー
ダーの間隔、長さ、太さによって変わるので、厳密に求めなければ
なりませんが、「えいやっ」とばかりに取り付け、あとはカットア
ンドトライです。
調節
今回YDUではワイヤーを使ってガンママッチを行ったので、ショー
トバーの位置を変えずにシャントフィーダーの間隔を変えて調節を
行いました。2、3度シャントフィーダーの間隔とCを可変するこ
とによってSWRはあっけないくらいに1.5以下に落ちました。調
節の目安としては、ショートバーの位置がラジエターの40〜60
%に入力インピーダンスの抵抗分のピークがあり、シャントフィー
ダーの間隔を狭くするとインピーダンスが下がり、インダクティブ
リアクタンスも減少するようです。また、ラジアルを4本張りまし
た。
アクシデント
調節も済み、さあRunningするかと元気良くCQを出し始めたら
「タワーの根本が燃えている」との通報。見てみると、シャントフィー
ダーのたるんだ部分が地面に触れ、被覆が真っ黒焦げになっていま
した。危ない危ない・・。給電部周辺は容易に人が触れないように
対策をしておかないと危険ですね。
成果
コンテストはJH0NZN氏と私の二人でオペレート。受信は'94と全く一緒のBeverageで行い、送信は23mh INV.Vを併用しました。去年は全くなかった、「呼ばれているのは分かるが取りきれない」受信能力<送信能力の状態に陥ってしまい、「呼ばれてる!けど、分かんない・・」とぶつぶつ言いながのオペレートです。飛びは確実に改善されました。
以下にQSOできたStatesとCountryをまとめます。
- States
- CA,WA,CO,OR,UT,MT,BC,AZ,NM,IL,WI,MO,TX,ID,NE,WY,MN,OK,AB,NV
- Country
- JA,UA9,V7,KH6,HL,KL7,XX9,VK,XE,YU,HA,9A,UA,I,VQ9,EX,UN,OM,VS6,9K,GW,A7, DU,HZ
'94とともに結果を表にまとめます。
表1 1995 CQ WW 160m Results of JA1YDU & JA3ZOH

表2 1994 CQ WW 160m Results of JA1YDU & JH5FXP

表3 1995 CQ WW 160m Continental Statistics

まとめ
去年このコンテストに参加して、「来年は垂直系のアンテナを用
意しよう」という反省の元にTowerDriveG.Pを試しました。コンテ
ストの結果はともあれ、成功です。堂々めぐりのようですが、今度
は受信能力の改善という課題がでてきてしまいました。
今使ってい
るBeverageは調節らしい調節をしていないもので、昨年のコンテス
トクラブ忘年会の時に、7L1GVE塩沢OMから、「そんなんじゃ、高さ
の低いロングワイヤーだよ」と指摘を受けた代物です。導線の特性
インピーダンスの乱れをなくし、終端抵抗の値もきちんと調節すれ
ばもっとBeverageらしくなるのではないかと思います。ちなみに、
あるところの話しによると、S/Nは「ワッチする人数の2乗」(dB)
分改善されるというおもしろい理論?があるようです。
YDUでは3.5/8MHzは3eleのG.Pを使用しています。こちらでも水平
系のアンテナを併用し、時間帯等によって切り替えて使用していま
す。水平系、垂直系のアンテナ2系統用意することの有用性は確認
済みです。ローバンドにおいてはG.Pはやはり魅力です。G.Pは良好
な接地もしくはラジアルが取れること、給電点まわりに障害物が少
ないこと、また、1.9MHzともなると結構な長さが必要になるなど、
実現するにはかなりの制約を受けてしまいますが、少しでも参考に
なれば幸いです。
from ENCC Express Vol.29, 1995